今回はNetflixオリジナルドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』をレビューしていきます♪
軍隊から脱走した兵士を追う”軍務離脱逮捕組”という組織を描いたドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』
リアルな「韓国軍隊のいじめ問題」に切り込んだ社会派作品として韓国で今話題になっています!
こちらの作品は日本のNetflixでも同時に配信がスタート。
日本人の私達にはなかなか知りえない韓国の軍隊事情もたくさん描かれており、衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか??
そこで今回は『D.P.-脱走兵追跡官-』から分かる韓国の”徴兵制”について深堀り!
- あらすじ
- キャスト
- 見どころ
- 口コミ
などの基本情報、そして後半ではドラマの背景にある韓国軍隊のいじめ問題と現状について詳しく考察・解説していきます。
Contents
Netflixオリジナルドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』のあらすじ
韓国陸軍憲兵隊の二等兵として服務するアン・ジュノ(チョン・ヘイン)はひょんなことから、脱走兵を追う組織「軍務離脱逮捕組」通称D.P(Deserter Persuit)として脱走兵を捕まえてくることを任命される。
ハン・ホヨル(ク・ギョファン)とタッグを組んで脱走兵を追跡するが、ジュノはその任務を通して苦しい現実にぶつかる…
軍隊での生活に耐えられなくなり脱走を図る兵士を通し、韓国での軍隊内のいじめ、人権問題を描いた社会派ヒューマンドラマです。
原作はウェブ漫画!
このドラマは、累計1000万ビューを記録した人気ウェブ漫画『D.P 犬の日』が原作となっています。

作者のキム・ボトンは実際にD.Pとして活動したことがあり、その経験からこちらの漫画を制作したとのこと!
ドラマの脚本も監督とキム・ボトン作家が共同で執筆されています。
Netflixオリジナルドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』のメインキャスト
チョン・ヘイン(アン・ジュノ役)

チョン・ヘイン演じるアン・ジュノは真面目で、そしてどこか無気力な青年。
バイトをクビになったタイミングで入隊し、軍隊生活をスタートさせたものの、ひょんなことから脱走兵を追跡し捕まえてくるD.P兵に任命されます。
ジュノはボクシング経験のある青年なのですが、チョン・ヘインはこの役を演じるために撮影3ヶ月前からボクシングを特訓。
鍛えられた肉体とボクシングを使ったアクションシーンもみどころの1つとなっています。

チョン・ヘイン自身は俳優デビュー前に軍隊へ行っており、二等兵(新人の兵士)になるのは実に12年ぶり。
20歳前後の青年の役と33歳の実年齢とは、10歳以上のギャップがありますが、童顔ということもあり違和感なく演じきっています。
ク・ギョファン(ハン・ホヨル役)

ジュノとタッグを組みD.Pとして脱走兵を追跡するハン・ホヨル。
いつでも陽気でお調子者なキャラクターですが、先輩としてジュノをしっかり引っ張っていきます。
実は、このホヨルはドラマオリジナルのキャラクター。
暗いシーンも多いドラマですが、ホヨルの存在が作品の中で良い軽快さを生み出しています。

ホヨルを演じるク・ギョファンは、『半島』『モガディシュ』など映画を中心に出演している俳優。
作品のアクセントとなるような役柄を演じることが多いのですが、今回もそんなク・ギョファンの魅力が存分に活かされています。
キム・ソンギュン(パク・ボムグ役)

ジュノとホヨルの上司、軍務離脱担当官であるパク・ボムグ。
厳しそうに見えますが、実はジュノやホヨルのことをしっかり考え、支援しています。
この役を演じているキム・ソンギュンは、韓国ドラマ・映画好きなら誰もが知っているであろうベテラン俳優。
その風格とちょっと強面な感じが“軍隊の上司”という役柄にぴったりハマっていますよ。
Netflixオリジナルドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』の見どころ

こちらはNetflix限定で配信されているオリジナルドラマ。
Netflixオリジナルといえば、テレビでは取り扱えないような”社会の問題”に切り込んでいくような作品が多いですが、このドラマもまさに韓国社会の闇に踏み込んだ作品です。
一般のドラマより短い全6話で、最初から最後までテンポよく駆け抜けていくスピーディーなドラマ。
重い内容を取り扱いながらも、くすっと笑えるコメディ要素もうまくミックスされており、そのバランスがとても良いです◎

Netflixオリジナルドラマ「D.P.-脱走兵追跡官-」の口コミは?
韓国国内のNetflix「今日のTOP10コンテンツ」で配信から数日間1位を獲得中(9月第一週)

視聴者からは、
「韓国軍隊の問題を取り上げながらドラマとしての面白さも掴んだ秀作」
「見始めるとすべて見終えるまで止まらない。それぞれのエピソードもしっかりとしてて、重いメッセージを投げかけている」
など、“韓国軍隊の問題”を取り扱った斬新さとドラマとしてのクオリティの高さに評価が集まっています。
『D.P.-脱走兵追跡官-』は韓国の徴兵制のリアルを描いたドラマ
ここからは韓国の軍隊とその問題について深堀りしていきます!
「そもそも韓国の徴兵制って?」というところから、このドラマの元となったといわれる事件についても詳しくご紹介しますね。
韓国の軍隊制度とは?

「大韓民国の男子は法の定めるところにより兵役の義務を遂行しなければならない」ー大韓民国兵役法 第3条
冒頭に出てきた文言のとおり、韓国では病気などの特別な事情を除きすべての男性が軍隊での服務が義務付けられています。
K-POPアイドルや俳優といった芸能人も、入隊で一時的に活動を中断することもあり、韓国の徴兵制については日本人にとっても遠い話のようで身近だったりしますよね。

韓国の男性は、19歳で兵役判定の身体検査を受けます。
その検査をクリアし、軍務につけると判定された男性は満20〜28歳の誕生日を迎えるまでに入隊しなければなりません。
軍隊の期間は所属する軍(陸軍、海軍、空軍など)により異なりますが、多くの韓国人男性はジュノのように陸軍で1年半の服務につきます。
ジュノの階級である2等兵というのは、入隊後5週間の基礎軍務訓練を終えたあとの新人兵のこと。
そこから一等兵、上等兵などと階級が上がっていく制度となっています。

学校に通っていようが、働いていようが、韓国の男性にとって特別な理由がない限り必ず行かなければならないのが「軍隊」
原則、規定の年齢のあいだならいつ行っても良いのですが、就職してから軍隊へ行くのはキャリアにも響く、遅くに行くと体力的にキツくなるなどの理由もあり、多くの男性は20~22歳くらいで入隊しています。
大学生のうちに軍隊へ行くことも多いので、大学卒業し社会人になるのは24~26歳と日本に比べて遅くなる傾向があります。
このドラマを見ていると、一般人とは関係のない特別な場所での話のような感じがしますが、この”軍隊”は韓国人男性にとって義務。
1年半ものあいだ社会から切り離され訓練と集団生活を強いられることになります。
軍隊でのいじめが社会問題に

このドラマのように、軍隊では厳しい上下関係があります。
年功序列が当たり前となっている韓国ですが、軍の中では年齢ではなく”入隊順”が絶対であり、上の者の言うことは必ず聞かなければなりません。
戦場では軍のチームワークが乱れるのは命を奪うことになってしまうため、そういったチームワークを築いていくためにもこのような厳しい上下関係が取られているのですが、実際にはその上下関係がもととなって理不尽ないじめや虐待に発展する場合も多いようです。

また、軍隊ではスマホの使用は制限されている(以前は完全に使用禁止だった)ということもあり、閉ざされた空間になりやすいのもいじめや虐待の要因のひとつ。
2019年頃にはこういったいじめや虐待を減らすため「開かれた軍隊」というスローガンのもと軍のイメージアップキャンペーンが行われたりしました。
『D.P-脱走兵追跡官-』では軍内でのいじめや虐待のシーンもかなりダイレクトに描かれているため、軍隊経験のある人はこのドラマを見て当時のことを思い出し強いストレスを感じる人も多いそう。
このドラマでの話は、ある限られた場所で起こっていることではなく“韓国人男性なら当たり前のように経験してきたこと”であるというのも、私たち日本人にとっては衝撃ですよね。
2014年である理由

ドラマでは現代ではなく2014年が舞台となっています。
この2014年という設定にはなにか意味があるのでしょうか??
実は2014年は、韓国の軍隊で大きな2つの事件が起こった年になります。
1つ目は、2014年4月に起きた暴行事件。
こちらは20代の一等兵が先輩の兵士たちに集団暴行を受けて死亡した事件です。
死亡した兵士は日常的にいじめや暴行を受けていたのですが、陸軍部隊はその事実を隠蔽。
死亡理由も当初は、食事をつまらせての窒息死つまり事故であると公表していました。
この隠蔽が明るみに出たことにより、陸軍参謀総長は8月に辞任を表明。
軍隊内でのいじめと暴行を無視し、結果的に死なせてしまったことが世間でも大きなニュースとなりました。
2つ目は、2014年6月に起きた乱射事件。
こちらは兵士が銃を乱射し5人の同僚を射殺した事件です。
兵士は同僚からのいじめが原因で犯行を決意。
最終的には自殺未遂をしたところで身柄を拘束されました。
この事件により、軍内でのいじめ問題がさらに明るみに。
また、事件を起こした兵士は精神的な不安を抱える「関心兵士」だったのにも関わらず、最前線での軍務を任されていたため、この事件でも部隊の管理体制の甘さが問われることになりました。
軍隊内でいじめに遭い、まったく違う結果となった2人の兵士。
この2つの事件がきっかけとなり、韓国の軍隊のいじめと人権問題が見直されるようになりました。
ここ最近では、
- 軍務期間の短縮
- スマートフォンの使用許可
が適用。
韓国男性にとって徴兵が義務であることに変わりはありませんが、少しずつ改善と現代にあわせた措置が取られるようになっています。
『D.P.-脱走兵追跡官-』の続編、シーズン2は?

『D.P.-脱走兵追跡官-』の続編やシーズン2については公式の発表はまだありません。
しかし、チョン・ヘインがあるインタビューにて「監督と脚本家はすでに台本作業中である」と発言!
続編やシーズン2は確定では?と予想されています。
続編やシーズン2となると、ジュノ自身の話も盛り込まれそうな予感。
公式の発表が出ましたらまた追記しますね!
まとめ:『D.P.-脱走兵追跡官-』は韓国軍隊のリアルな現実が分かるドラマ
今回は、Netflixオリジナルドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』をご紹介しました!
軍隊内のいじめ、そして人権問題にフォーカスした作品。
重いメッセージを伝えており、私的にもかなり衝撃を受けたドラマでした。
暴力シーンはかなり生々しかったのですが、それでも見てよかったと思えたドラマ。
続編やシーズン2が出ればそちらも必ずチェックしたいと思います!



